「あつ森」から学び、コミュニティ化を実践する

コロナの影響で自宅で「あつまれ動物の森」をする人が増え、攻略本が売れている。と言うニュースが緊急事態宣言中に話題となりました。この「あつまれ動物の森」と言うゲームの特徴は「オンラインで人と交流し、コミュニティとなり、双方向のコミュニケーションを楽しめる」と言うものです。この「あつ森」は、人間の根源的な欲求である「人とつながり集団化する機会」を提供しているからこそ、多くの人が楽しみながら交流する場としての役割を緊急事態宣言下で果たしたコンテンツです。
普段、女性起業家を中心にコンサルティングをしている私は、もともとゲームをしない人間ですが、緊急事態宣言下で知り合いが「あつ森」で盛り上がっている様子はとても楽しそうで微笑ましいと思っていました。以前、脳科学者の方の講演会で、人間が交流し、井戸端会議を行うことは「猿の毛づくろい」と同じ。と、聞いたことがあります。人には人と交流し、価値観を共有することで「絆」を深めたいと言う根源的な欲求があります。それがリアルで出来なくなった時に、多くの人がバーチャルなゲームの中で「絆」を深めることを好んだのは必然と言えます。もっと言うと、人間と言うのはそもそも進化の過程で人間同士が協力し合う、集団化することによって厳しい環境を生き抜いてきた生き物です。そう言った進化の過程を見ても、人間はリアルで会えなくなったとしても、オンラインで集団化することを生存欲求としてそもそも持っていることを私たち事業者は理解しておく必要があるでしょう。「あつまれ動物の森」しかり、「オンライン飲み会」しかり、生き抜くために『集団化』を求めるのが人間と言う生き物なのです。これは、男性、女性関係なく根源的な生存のための欲求です。
さて、緊急事態宣言が解除され、今、少しずつもとの生活に戻りつつあるものの、「新しい生活様式」によって、リアルで集団で集まることは避ける。3つの密を避けなくてはならないと言うのが現状です。一方で、ビジネスと言う目線で見ると、オンラインで情報発信できるツールは飛躍的に広がっています。特に今年はyoutubeがその筆頭と言えます。オンライン化の流れの中で、youtubeや動画を使った無料のコンテンツが飛躍的に増えているのは周知の事実です。「運動する機会を提供する」コンテンツとしては、無料で自宅でフィットネスが出来る気分で、フィットネスやヨガ、ピラティスなどをプロと一緒に実践出来るため、ジムに行けない分、毎日のように自宅でyoutubeを見ながら、体を動かすユーザーが世界で激増したことは言うまでもありません。
しかしながら、サービスを提供する事業者からすると、実はフィットネスやヨガに通わなくても、自宅で出来てしまうとなると、これから景気後退、手取りの給料も減って行く経済の環境下で、体を動かすことへの消費はコストカットの対象になる可能性が高まります。要するに、youtubeの無料コンテンツ実は良かったとユーザー側が気づいてしまったが故に、体を動かすことへの消費はあえてお金を払わないで無料の動画で済ますと言うリスクも高まっていると言うことです。
そこで、ヨガ教室などの事業者、特に個人事業主が考えておかなければならないのは、①自身もyoutubeを実施する、②マンツーマンで高単価の商品をつくり、受注できるようにする、③オンラインで集団で実施する場合のコミュニティ化。この3つです。なかでも、戦略として実践しておくべきは③のオンラインで集団となった場合の「コミュニティ化」です。先ほどもお伝えした通り、オンラインでのヨガ教室やワークアウトなどのサービスの提供は今、かつてなく無料のコンテンツに置き換わりやすい状況になっています。だからこそ、オンラインで集団になった場合には、「コミュニティ化による付加価値の提供がカギ」になって来ます。
以前からコミュニティ化を取り入れて会員を増やしている事例として50代、60代の女性向けフィットネスに「カーブス」があります。「カーブス」は、女性専用であるだけでなく、体を動かす場がまさに女性同士が井戸端会議を行える「コミュニティ化」をリアルの場でも戦略として取り入れている点で、他のフィットネスジムと異なります。多くのフィットネスジムは、月額課金のビジネスモデルですが、その中で利用者が来なくなることに対して、企業側からのアプローチはありません。フィットネスにお金を払っても来ない層が一定数いることを勘案していますし、来ない層がいることによって面積当たりに占める利用者の人数を考えてジムの快適さを担保しています。しかしながら、カーブスは来なくなったユーザーには連絡をすることでコミュニティを存続することに重きを置いています。それにより、売上が落ちないようにしているだけでなく、最もコストのかからない集客方法である「口コミ」を増やす取り組みをしているのです。大手のように多額の広告宣伝費をかけて人を集めるのではなく、あくまでも「コミュニティ化」による「口コミ」を重要と位置付けているのです。
長くなりましたが、結論をお伝えすると、集団で体を動かすヨガなどのサービスを提供している事業者、特に個人事業主の場合は、オンライン化により無料コンテンツに顧客が流れるリスクを食い止め、さらには口コミを起こして行くためには「オンラインでのコミュニティ化の実践が重要」と言うことを認識する必要があります。私自身、女性で起業している方のコンサルティングをしていますが(男性のクライアントの方もいらっしゃいますが、基本的には女性が多いです)、特に女性向けのサービスを提供している場合には、女性は男性以上にコミュニケーションの場を好むこともあり、コミュニティ化を一つの戦略として導入することでオンラインであっても、コミュニティ化、口コミを増やして行く取り組みは女性向けであればなおさらニーズがあるのです。そう言った女性の特性も踏まえて、女性向けのサービスは特に「みんなで交流できる」コミュニティの要素を取り入れることによって、口コミを増やし、無料コンテンツだけでは提供できない付加価値を付与して行く必要があります。
また、「コミュニティ化」によって、「口コミ」を起こすだけでなく、③単価の高い商品のクロスセルが可能になります。まずはベースとなる集団のコミュニティ化、口コミを起こす仕組みの導入、そして、そこからクロスセルの流れを戦略的に実践して行くこととその上で細かな戦術を決めて行く流れを構築するのです。
いずれにしても、コロナでオンラインでしか会えない中でも、提供出来る「付加価値」をしっかりと考え提供しなければ、コロナのワクチンが開発されるまで、第二派、第三派とコロナの影響が続き景気後退する中で、消費者の財布の紐がますます固くなることは目に見えており、そのような消費者の動向を踏まえ、「あつ森」から消費者の「集団化」の欲求をとらえ「コミュニティ化」することで無料コンテンツに流さない工夫、ローコストで新規顧客獲得を実現すること、そして高単価の商品開発によるクロスセルによる売上アップを実践していく必要があることを理解しておきましょう。